艶笑譚 ◆◆◆◆◆◆ 艶句の世界
ある年の夏、青森で行われたレゲエのコンサートにバスを借りて三十名程で行ったことがあります。帰りは温泉にも立ち寄り、とてもいい気分を味わったのです。数日後、参加メンバー数人で話をしていたときのこと。その中の一人が「温泉で前を隠さないでいたのはマドさんだけでしたよ」と言い出したのです。おまけに「さすがですね」とおだてられもし、「大きさには全然自信ありません」と言いつつも、少々優越感を覚えたものでした。大衆浴場で前を隠すという習慣は私にはなく、その時も隠していないことすら覚えがなかったくらいです。しかし、思い起こせば中学時代、修学旅行の風呂場で一人が海水パンツ姿で入っていたのをこれ見よがしにバカにして、風呂椅子を腰にあて、真ん中に空いている丸い穴から自分のものをのぞかせて、彼の前で振り回したことを思い出しました。 ある日、『江戸上方「艶句」の世界』という本を読んでいたときのこと。ひとつの句に私は愕然としてしまいました。 その憎さ・指似子隠してふろへ入 著者の解説にはこうありました。 「『指似子』は男の子のおチンチン。男のくせに風呂で隠すのはこましゃくれて憎いものだが、持ち物を恥ずかしく感じるのは、大きくなって来たのに気付くころである」と。 いやはやなんとも…。
そんな状態を歌った句があります。 白い股・顔見る隙はなかつたり 「これは、はじめて白い股を見てしまった時の若者の正直な告白。そこだけに熱中していたので顔の美醜など確かめる余裕などはなかったというので、初体験と解することもできよう」(解説文より)
★参照…『江戸上方「艶句」の世界』(鈴木勝忠著・三樹書房) |
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