艶笑譚 ◆◆ 大いに和らぐ
日本人は「勤勉で律儀で忠誠心旺盛な忍耐強い民族」だとよく言われますが、実際のところどうなのでしょう? この堅物のような日本人像は明治、大正、昭和と時代が進むにつれて作り上げられた軍国形成のための全体主義的策略による幻想から生まれたもので、ひたすら個を隠し通 し、全体の中の一部品として機能するように仕組まれた仮の姿なのです。そしてその幻想をそのまま企業や団体が受け継いでいるために企業戦士なるものも生まれてくるのです。しかし、いざ仕事を離れて人間の本音の部分に帰れば、意外におおらかで和やかな人が多いのではないでしょうか。 日本の古称「大和」。これは言い換えれば「大いに和らぐ」ということです。「大和民族」「大和撫子」「大和魂」など「大和…」という言葉が付くものはいくつかありますが、すべて「大いに和らいだ…」と言うことができます。本来私たちの体の中にはこの「大いに和らいだ」血が流れているのです。
このなんとも艶笑譚的なおおらかさは、他に例えようがありません。取り繕った日本人としての体裁を拭い捨て、大和民族本来の大いに和らいだ一個人に戻ったとき、はじめて私達の真の姿が現れてくるものです。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 尻のあな、そのとなりめくところをよびて、前どのハまだおめざめたまはぬにや。よべはいかなるまれびとのおはしましつるにか、いとにぎはゝしくて、よそながらいもねられ侍らざりきといふ。前いとはづかしげにて、何ばかりのことも侍らざりしが、よべはなき人の逮夜にて侍れば、いさゝかみのりのわざをいとなみ侍りしといふ。尻うなづきて、げにさればにや、見なれぬ 大法師の、いでいりしげく侍りつるはとぞいひける。
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★参照…『日本の艶本・珍書』(自由国民社) |
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