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パースペクティブ・エモーション(透視的情動)〜未知の地平へ〜

 

渋谷・公園通りクラシックス [ ZIPANGU NEWS ] より
Pick Up Artist 〜 公園通りのアーティスト 向井千惠

 

 

『即興表現の可能性 〜 なぜ我々はそれを選ぶのか』

 即興表現を体験したことのない人に、そのおもしろさを伝えたいと思い、約30年間の即興演奏やパフォーマンスの体験と、2001年から始めた即興表現によるワークショップを通し、感じ確認したことを記してみる。
 即興表現の一番のおもしろさは予想のつかない展開 − 新たな表現の可能性ということにつきる。このイベントでは、初めにカードを引いて組み合わせを決めるのであるが、それ自体も即興であり、どういうジャンルの誰と組み合わさるかさえもわからない。決まっているのはくじ引きというシステムと参加アーティストだけである。いきなり知らないもの同士、異なるジャンルの者が数人でパフォーマンスをすることになるのである。しかし、いかなる組み合わせであっても、アーティストの表現しようとする意志さえあればコラボレーションは可能だ。そればかりか誰も予想し得ない新たな表現領域に踏み込んでいく。いかに即興表現といえども最初からメンバーの決まっているグループの組み合わせはだいたいどのような展開になるか予測はつくのである。普通ダンサーが音楽家とコラボレーションする場合、どのような音を出す音楽家かわかって選ぶし、たいがい知り合い同士で行う。しかしこのイベントの場合、組み合わせそのものも即興的にきめられるのだ。プロのアーティストでなくても表現しようという意志とその場の波動を感じる感受性があれば十分表現者たりうるのだ。
 即興表現は、今その時間、空間そのもののダイレクトな表現である。普通の演劇のように筋書きがあり、演出家の指図のもとに役者が演じるというシステムの対極にあるものである。その時間、空間を共有する個々人が即自己表現を行うことによりコラボレーションを作り出していくのである。しかし、それは表現者の意図とは関係なく筋書き=ストーリーのようなものができたり、今迄見たことの無いような感動的で美しい空間を現出させたりできるのである。それは演出家が意図してやることとは別の次元で生まれてくる。演じる者同士のお互いの波動、それを見るものの波動、その場の波動をすべて即表現 、昇華し、演じる者、見るものを解放させる力を持ちえるのだ。特別に訓練されたテクニックをもたずとも、その場に身を任すことによって力を得、それを増幅させ解き放つエネルギーを誰もが持っているということをワークショップを通し私は学ぶことが出来た。
 この「PERSPECTIVE EMOTION 透視的情動」は、このぐらい力強い表現の可能性を追求し、実践する唯一のイベントである。

 

PERSPECTIVE EMOTION
透視的情動
実行委員会
代表 向井千惠
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