よだれ
牛の食欲のように
だらだらしたそれは
ぼんやりの感受性をともなって
やむことのないいたわりやいたぶりに
割って入る透きのない
曖昧な愛撫を反映し
それでいていつにもましてそれはそれで
一塊の肉のようにぶるぶるとふるえながら
幾重にもよじれた襞をひらかれている
しかもやわらかく打たれたかよわい痛みに
ますますその歓びをあらわにする
なめくじよろしく
だらりとしただらだらのよだれが
だれのものかもわからないままながれおち
いつものようにこぼれてしまうため息に
思わず舌の突起物もわれを忘れて
わらいだすかも…
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