無為の実践

 

肛門が少し開いて
そろそろとぐろを巻きはじめた
夢や月のまわりで大口をあけて
狂ったようにわらっている
陽気なひだも美しく
男も女も痛みも苦しみもなく
入れた指の鼓動が
温かさやすえた匂いにつつまれて
淑やかにほほえみながら
幾重にも束ねられている歓喜の産声に
機械仕掛けの自動人形のような指
或いはナメクジやナマコにも似た
その指達の変化
そして伸縮をつづける肉さえもが
あるがままの姿でわずかな策略もなく
よどみのうたかたよろしく
行為というには
あまりにも純粋な動きでもって
期待どおりの無為の実践が
繰り返し繰り返しおこなわれる…